連載では、今は人気がないが今後需要が伸びると想定される領域をテーマにしてお話ししていきます。
フリーコンサルタントの方には、世の中の需要(ニーズ)を把握し、自身の市場価値を上げていく取り組みを行うことが必要だと考えています。今回の連載を通して、今後需要が伸びる領域を把握し、フリーコンサルタントの方の今後のマーケット予測のお役に立てればと思います。
第1回目は「Nocode」です。
Q:そもそもNocodeとは何か
A:Nocodeとは、名前の通りプログラミング言語を使わずにWebサービスやシステム開発ができる手法のことです。
本来システム開発を行うためには、何らかのプログラミング言語を用いる必要がありますが、Nocodeにより、プログラミング言語を記述する必要がなく、スキルのない方、エンジニアではない方でもシステム開発を行えるようになりました。
Q:Nocodeが流行ると考える理由は何か
A:理由は3つあります。
1つめは、「企業のIT投資活動の変化」です。
企業の大規模なシステム開発へのIT投資活動は一巡し、よりユーザーや企業が自分たちのニーズに沿った多品種少量な業務に対して、IT投資を行う流れに変化しています。そのような業務に対してシステム化を行う際に、ゼロの状態からシステムを作り出すスクラッチ開発を行うと投資に対してのROI(費用対効果)が低くなります。
そこで、Nocodeにより、スキルを必要とせず、IT人材の雇用にかかる費用も削減でき、また短期間で効率的にリリースできるシステム開発は、今の企業のIT投資のニーズに合っているといえます。
2つめは、「Nocodeを取り巻く環境の変化」です。
環境の変化の要因は2つあります。
要因の1つめは、「SaaSやAPI連携の普及」です。SaaSサービスとは、インターネットを通じてソフトウェアを利用すること、API連携とは、異なるソフトウェア同士を連携することを言います。例としては、会計や経費、勤怠管理の機能を持っている「マネーフォワードクラウド」といったSaaSサービスが、API連携で各金融機関との明細の連携ができる、といったことが挙げられます。
このようなSaaSサービスやAPI連携の普及により、アプリケーション開発を行わず、より多くの人がより柔軟にシステム導入が行える環境へと変化してきています。
要因の2つめは、企業や教育機関におけるIT教育の充実やIT需要の高まりによる、世の中の「ITリテラシーの向上」です。また、それに伴いエンジニア経験者やロジックを構築できる人材も増加傾向にあります。ITリテラシーは今後も伸びていくと考えられ、Nocodeツールを扱える人材も増えいくと考えます。
このような「SaaSサービスやAPI連携の普及」や「ITリテラシーの向上」といった環境の変化はNocodeの普及を加速させると考えます。
3つめは「過去事例」です。
今はマウスを使っての操作が当たり前ですが、マイクロコンピューターと呼ばれていた時代のパソコンは今のWindowsのコマンドプロンプトのような黒い画面にコマンド入力することで操作を行っていました。マウスの操作も、裏側ではコマンドが動いてコンピューターを動かしているのですが、コマンド入力(プログラミング言語の記述)からマウス操作へと変化したことは、おそらく、これまでの歴史で最も大きいNocodeの事例だと思います。
この事例から分かることは、プログラム言語を覚えるというハードルがなくなることで誰もが使えて一般的になるということです。つまり、Nocodeによりプログラム言語を使わなくてもよい環境になり、誰もが使える状況になれば、Nocodeはより普及すると考えられます。
Q:現在のNocodeの問題点は何か。
A:システムパフォーマンス(効率性や処理能力)が良くない点が挙げられます。
エンジニアはコーディング(プログラミング言語の記述)をする際、無駄なソースコードを書かず、効率的なソースコードを記述していきます。しかし、Nocodeツールを用いた場合、プログラミング言語を使わずに開発ができるため、効率的な処理、つまり処理スピードよりも汎用的に動くことをベースにシステム開発を行う事になります。そのため、データを大量にさばく必要のあるシステム開発には向いていないという欠点がでてきます。
ただし、上記のような問題点はあるものの、デジタル社会になり、大量に情報処理をする必要がないものも多く存在するため、簡単にシステム化したいものはNocodeツールによる開発でも良いという判断となっていくと思います。Nocodeはビジネスユーザーが直接使うExcelのVBAのようにEUC(エンドユーザーコンピューティング)として、広く普及していくと予想しています。
次回予告「情報セキュリティ」
次回は情報セキュリティについて言及する予定となりますので、是非楽しみにお待ちくださいませ!