三菱商事・BCGを経て独立。生成AI時代を生き抜くためのフリーランスコンサルタントとしての働き方とは
2026.06.09

本記事のサマリ

三菱商事で7年間、会計・IR・海外事業など幅広い実務を経験し、その後BCGで戦略コンサルタントとして金融機関のDX戦略や中期経営計画策定に携わった河田さんにお話を伺いました。IR支援会社では赤字状態の会社を1年で黒字化させ、2026年4月にフリーランスコンサルタントとして独立しました。 生成AI時代にコンサルタントが持つべき本質的な価値、フリーランスという働き方、そしてコンサルの先に見据える事業投資へのシフトなど、独立からわずか2ヶ月の今だからこそ語れる、フリーランスコンサルタントのリアルをお話しいただきました。

インタビュイープロフィール

  • 氏名:河田 健太郎さん
  • 略歴: 三菱商事→ BCG(ボストン・コンサルティング・グループ)→ IR支援会社→ 2026年4月独立(株式会社Primeworks 取締役)
  • 専門領域:DX戦略支援 / 金融機関向けコンサル / 上場企業IR支援
  • 現在の働き方:BCG時代の同期と2名で株式会社Primeworksを設立し、フリーランスコンサルタントとして活動中。

 

「経営者になる」という夢と、大企業での働き方への違和感

Q. 独立に至るまで、かなり多彩なキャリアを歩まれていますね。そもそも、独立を考えるようになったきっかけは何だったのでしょうか?
元々、何をするにも自分で決めて実行に移したい性格で、「自由に働くなら経営者だろう」とずっと思っていました。なので、大学を卒業してからも「いつかは独立・経営をしたい」という気持ちは常にありました。

ただ、社会に出たばかりで経営に必要なスキルも人脈も何もなかったので、まずは優秀な人たちが集まる環境で働いてみたいと思い、三菱商事に入りました。正直なところ、ずっとここにいるとは思っていなかったですね。いつかは自分の力で勝負したいと、入社当初から考えていました。

Q. 三菱商事での7年間は、どのような経験を積まれたのですか?
主計部で予算・決算管理業務や会計システムの導入、IR業務などに5年間従事した後、オーストラリアの原料炭事業会社でトレーニーとしてグローバルな実務を1年間経験しました。帰国後は船舶事業の事業投資先管理も経験して、かなり幅広い業務に携わることができた点はよかったと思っています。

一方で、良くも悪くも大企業にいると中々自分で意思決定して責任を取るような働き方はできないため、三菱商事にいながらも「次のキャリアをどうするか」はずっと頭の中にありました。

Q. その後BCGに転職されています。戦略コンサルへの転身を決めた理由と、BCGで得たものを教えてください。
海外にいたタイミングで次のキャリアを真剣に考え始めて、最初は勢いのあるベンチャーのCxOポジションを狙っていました。ただ、そういったポジションは外資金融や外資コンサル出身者でないと難しいことが分かりました。しかも三菱商事でやっていたのは会計系の業務が中心で、ビジネス全体について深く理解しているわけでもないと気づき、まずは経営コンサルの世界で経営を体系的に学ぼうと思い、BCGに転職しました。

BCGでは主に金融機関を担当していて、DX戦略の立案や中期経営計画の策定、その実行PMOなど、3年間かなりの量のプロジェクトに従事しました。お客様に深く入り込んで、1〜2人で議論を重ねながら案件を進めていくスタイルは、今のフリーランスコンサルタントの仕事に直接つながっていると感じています。ただ、最終的な意思決定はお客様ですし、大企業の組織論理の中でどう動かすかを常に考えなければいけない構造で、「自分で決めて自分で責任を取る」という感覚とはやはり違うなと思っていました。

Q. BCGからIR支援会社に移られた理由は何でしたか?また、独立の決断はどのようにされたのでしょうか?
コンサルタントはあくまでアドバイザーで、「当事者として経営に関わりたい」という思いがずっとありました。そのタイミングでIR支援会社に入る機会があり、「赤字会社の立て直しをやってみたい」と思い入社しました。

入社した時は数億円赤字だったのですが、1年間でなんとか営業利益400万円の黒字化を達成できました。ギリギリではありましたが、「ひと仕事終えた」という節目を感じた頃に、ちょうどBCG時代の同期から連絡が来ました。彼とは同じ月にBCGへ中途入社して、研修から一緒でした。彼が大阪、自分が東京配属だったので頻繁には会えなかったのですが、彼が東京に来るたびに会い、よくキャリアの話をする仲でした。そんな彼からの『一緒にやらないか』という一言だったので、あまり迷わずに勢いそのままで独立を決めました。


フリーランスコンサルタントのリアルな働き方と案件獲得の壁

Q. フリーランスコンサルタントとして案件を獲得していく上で、どのような難しさがありましたか?
コンサルの案件は、多くが3ヶ月〜半年のプロジェクト単位で動くものなので、前の案件が終了するたびに次の案件を探さないといけません。知り合いや前職のネットワークを辿れることで案件につながることもありますが、毎回それが安定して続くわけではないので、自力だけでは継続的に案件を確保するのはなかなか難しいのが現実ですね。

Q. そこでマッチングサービスを活用されているとのことですが、ProConnectを選んだ決め手は何だったのでしょうか?
マッチングサービスを提供している会社自体はものすごく増えているのですが、実際に登録してみると「最初に面談して、あとは音沙汰なし」や「案件の単価が理想に届かない」というケースが少なくないです。

戦略コンサル出身だと単価の基準がどうしても高くなるので、それに見合う案件を紹介してもらうことは、実はかなりハードルが高いという現実があります。その点でProConnectは実際に案件に繋がったという実績がありますし、単価交渉のサポートもしてもらえます。自分でお客さんに単価交渉を言い出しにくい場面でも、間に入って一緒に動いてもらえるのはありがたいです。

Q. フリーランスコンサルタントになり、働き方はどのように変わりましたか?
BCGの頃は深夜残業も当たり前でしたし、パートナーやマネージャーの期待に応えるための稼働が求められていました。今は、自分のリソースに合わせて業務量や期待値を自分でコントロールできます。平日と土日を組み合わせながら、集中したいタイミングで一気に働くなど、自分のリズムで動ける感覚がありますね。

成果さえしっかり出せれば、いつどこでどう働くかは自由です。ワークライフバランスは以前に比べて大幅に改善されましたし、何より「自己責任の範囲で動ける」という感覚が、自分の性格には合っていると感じています。

生成AI時代にコンサルタントが「代替されない」ために




Q. 「コンサルタントはAIに代替される」という議論が活発ですが、率直にどう思われますか?
それは、コンサルタントの本当の仕事を知らない人たちが言っていることだと思っています。私もコンサルの仕事をする前はそう思っていたので、そう言いたくなる気持ちは分かるのですが、実際にやってみると、コンサルの仕事って世間が思っているよりずっと泥臭いです。お客様が本当に困っていることを引き出して、言語化できていない課題に対して仮説を立てて掘り下げて、「きっとこういうことが問題になっているのだろう」というところを一緒に突き詰めていく、この能動的なプロセスは、今のAIにはまだできないと思っています。

Q. では、AIに代替されないコンサルタントの本質的な価値とはどこにあると思いますか?
二つあると思っています。一つは「クライアントが言語化できていない潜在課題を引き出す力」。もう一つは「人の行動変容を促す力」です。

正しいことをAIが答えてくれたとしても、それを実行に移せる人たちって実は限られます。大企業はなおさらそうで、正しい提案をするだけでは組織は動かない。「どうすればこの人たちが動いてくれるか」を考えながら関わり続けるのは、やっぱり人対人でないとできない仕事だと思っています。

表面的な資料作りはAIに委ねていく時代になるでしょうけど、コンサルの価値はそこではない。どれだけ深くクライアントとコミュニケーションをとり、人が動くような提案ができるか、そこはAIには完全には代替されないと考えています。

Q. AIをうまく活用できるコンサルタントは、逆にどのような可能性があると思いますか?
たとえば、以前は稼働率100%で200万円もらっていたとして、AIをうまく使えば稼働率50%で同等のクオリティのアウトプットが出せるようになるかもしれない。仮に単価が200万から150万に下がったとしても、50%の稼働で済むなら2案件掛け持ちできて、合計300万になる可能性があるわけです。

つまり、AIを駆使できる能力の高いコンサルタントに案件が集中していく一方で、資料作成などの表面的な業務に留まるコンサルタントは淘汰されていく、そういう世界になっていくのではないかと思っています。代替されると思っている人は、実際に代替されていくと思います。

コンサルの先に見据える事業投資へのシフト




Q. 今後、特に注力していきたい領域はありますか?
DX戦略の支援と、金融機関・上場企業へのIR支援ですね。BCGでDX案件を一番長く担当していた経験が活きますし、IR支援は前職で実際に当事者として経験してきているので、両方とも自信を持って取り組める領域です。

意識しているのは、なるべく元請けの案件に入ること。下請け構造の中に入ってしまうと単価も裁量も下がるので、できる限りクライアントと直接向き合える案件を選ぶようにしています。

Q. 今後、どのようなキャリアビジョンを描いていますか?
コンサルという仕事は、自分のスキルを最大限に活かしながらキャッシュを効率よく積み上げられるものだと捉えています。その資金を元手に次のステージへというロードマップが明確にあるからこそ、今のプロジェクトにも真正面から向き合えています。BCGの同期と2人で独立したのも、2人の方がキャッシュを効率よく蓄積できるからという側面があります。

ある程度キャッシュが溜まってきたら、投資に回して労働集約型のビジネスモデルから脱却したいと考えています。ずっと人が動いて稼ぎ続けるモデルには限界があるので、コンサルで蓄えた資金を元手に事業投資へシフトしていくのが、2人で共有している中長期の方向性です。

Q. 最後に、独立を検討しているコンサルタントへメッセージをお願いします。
資料作りなど表面的な業務に自信があるというだけで独立を考えているなら、正直「2年遅かったな」という感じがします。時代的にそこは厳しくなってきている。

ただ逆に、お客様の課題としっかり向き合える力がある人は、AIを使うことでむしろ効率よく価値提供できるようになってきているはずなので、むしろこれまで以上に効率よく価値が出せると思います。稼働率を下げながら複数案件を掛け持ちして、以前より稼ぐという働き方も十分に現実的です。

自分が「表面的な仕事しかしていないな」と思うのか、「お客様の本質的な課題と向き合えているな」と思うのか、そこが独立するかどうかの一つの判断基準になるのではないかと思います。


あとがき

三菱商事・BCG・IR支援会社という異なるフィールドを渡り歩いてきた河田さんが一貫して追い求めてきたのは、「自分で決めて、自分で責任を取る」という働き方でした。

フリーランスコンサルタントという選択は、その延長線上にあり、生成AIの台頭をむしろ「使いこなす側」として捉え、コンサルタントとしての本質的な価値である潜在課題の言語化と、人の行動変容を促す力を磨き続けています。

「代替されると思っている人は、実際に代替されていく」

この言葉は、変化の波の中でキャリアに悩むすべてのコンサルタントへの、率直なエールとなっています。

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