インボイス制度 フリーコンサルタント側 企業側 メリット&デメリット
2022.11.25

インボイス制度とは

2023年10月にインボイス制度が開始されます。インボイス制度とは、仕入れ税額排除を受けるための新たな改正「適格請求書等保存方式」のことを指します。売り手側は買い手側に対してインボイス(適格請求書)を交付し、買い手側は仕入税額控除の適用を受けるために、インボイスを保存する必要があります。インボイス(適格請求書)とは、登録番号や適用税率、消費税額など、所定の記載要件を満たした請求書のことです。税務署長から「適格請求書発行事業者」と認められた課税事業者でなければ発行できない制度になっています。

フリーコンサルタントのメリット&デメリット

ご自身が課税事業者になるか、免税事業者になるかによって、今後が大きく変わってきます。
【免税事業者の場合】
条件としては年間の売上金額が1000万以下の方が対象となります。ただし、売上金1000万には基準期間と特定期間という判断期間が設けられていて、免税事業者は、両期間ともに課税売上高が1,000万円を超えない法人または個人事業主が対象です。メリットとしては、消費税の納付が免除されるため売上に対して手元に残る額が増えます。
デメリットとしては、免除される消費税は取引先が代わりに納付することになるため、取引条件が不利になりやすく、獲得できる単価が下がる上、ご自身と同スキル、同単価の課税事業社の人材がいた場合は、コスト面での条件が不利となり、案件を獲得できない可能性が高くなります。そのため、仕事が減るリスクを抱えながら免税事業者のままであり続けるか、課税事業者となって消費税を負担するかの選択を迫られることになります。
【課税事業者の場合】
課税事業者のフリーコンサルタントの方は、今回の改正の点だけ捉えるとメリットはないと言えますが、案件獲得時に企業側が同スキルの免税事業者であるフリーコンサルタントと採用比較をした際には、課税事業者であるフリーコンサルタントの方が選ばれる可能性が高くなるため、課税事業者でることが有利に働くケースも発生するかと思います。
課税事業者に転換するには、次の2つの手続きを行う必要があります。
1つ目に、消費税課税事業者選択届出書の提出。2つ目に、インボイス発行事業者の登録申請。なお、2023年3月31日までにインボイス発行事業者の申請をすると、消費税課税事業者選択届出書の提出は不要です。2023年10月1日からインボイス発行事業者として登録され、自動的に課税事業者へ切り替わります。登録されていない課税事業者は、インボイスを発行できないため、早めに申請を行って準備しておくことが大切です。実際に運用していくにあたり、現在より経理処理は複雑になります。インボイスには現在の請求書における必要項目だけでなく、適格請求書発行事業者としての登録番号・適用税率・消費税の額などの記載が求められます。以上のように、消費税の負担だけではなく、手続き作業が発生し、手間がかかるのがデメリットであると言えます。

企業のメリット&デメリット

最大のデメリットとしては、免税事業者と取引をしている場合、免税事業者の代わりに消費税を納税する必要があり、収益に影響します。よって、まずはじめに取引先が課税事業者なのか、免税事業者なのかを事前に把握し、その上で作業としては課税事業者か、免税事業者の違いによって異なる経理処理を組む必要があります。フリーコンサルタントと契約される企業さまにおかれましては、免税事業者のフリーランスとの取引条件を明確にすることが重要となります。なぜならば、単価交渉などで一方的な通告や優越的な態度を利用した押し込みをすると、独禁法下請法に抵触する可能性が高くなるためです。
今回の制度改正でメリットと言い切れるものは無いように思いますが、強いて言うのであれば、今回の制度改正を機会に電子インボイス(電子データによって送付された的確請求書のことを指す)の導入を検討し、業務の効率化を図ることではないでしょうか。今回の改正にあたり、外部から電子で来たデータをプリントアウトして保存しているものは、今後電帳法の対応としてデータで保存する必要がある観点からも、デジタル化は必須であるとも言えます。

インボイス制度開始をチャンスと捉えポジティブなアクションへ

フリーコンサルタントとして活躍されている皆様におかれましては、課税事業者か免税事業者の選択肢を正確に理解し、今後ご自身がどのように進むべきか判断いただく必要があると思います。今回の制度改正により、一番不利になってしまうのが、正社員で働きながら副業でフリーコンサルをされている免税事業者の方々です。現在のところ問題回避方法は無いように見受けられますが、唯一の方法としては、稼働時間が変わらずとも1000万以上の収入を達成される課税事業者を目指していただく事がベストではないでしょうか。一方で、企業側としては今回の改正に対する法令対応の観点からすると一見、デメリットしかないと捉えられますが、この機会を前向きに捉え、事務作業の増加はデジタル化で解決するなど、業務効率化等の業務改善に努めていだければと思います。また、それ以前にインボイス制度スタートに伴い、まず何からスタートしたら良いか整理と判断がつかない!というお悩みがございましたら、ぜひProConnectにご相談くださいませ。