【現役コンサルがDX白書2023を要約】「米国から周回遅れ」まだ本気になれていない日本のDX事情が明確に
2023.09.29

コロナをきっかけにメディアやSNSをはじめ、各企業でもキーワードとして盛り上がりを見せている『DX(デジタルトランスフォーメーション)』。それは検索数のトレンドの急上昇からみても明確です。


最初の緊急事態宣言が出た2020年4月以降に急上昇。2022年以降、さらにその勢いは増しており、ピーク状態が続いている。(出典:Googleトレンド)

最初の緊急事態宣言が発令された2020年4月以降に急上昇し、盛り上がりから3年がたった今でも、DXの必要性、その手法、各社の状況や課題などDXに関する情報は更新され続けています。この記事を読んでいただいている皆様は、「DX」というキーワードを目にしない日はないのではないでしょうか。

そのような流れの中で”DX白書”2023年版が刊行されました。本白書では、国内企業のDX動向を様々な切り口で紹介していますが、日米の企業のDX状況を比較しており、DXに対しての日本企業の本気度の低さが露呈する結果となりました。


そこで、日々国内企業のDXの支援をしている当社が、大量の報告書を簡単にまとめてみました。

~ DX白書2023とは? ~


2023年度版のDX白書は、2021年度版の白書に引き続き、デジタルトランスフォーメーション(DX)の進展と推進に関する報告書です。DXを推進するための方策や、政策提言を行っており、DXを実現するための戦略的な情報を提供することを目的としています。さらに、報告書では、DXを実現するための先進事例や、DX推進に向けた支援策についても言及されています。


日本企業と米国企業とのDXの取組状況や優先する取組対象、意識などの違いを、経年変化を含めて明らかにしています。また、国内のDX事例を収集し、企業規模、業種、地域での取組を可視化した「国内産業におけるDX動向に関する全体俯瞰調査」の結果も掲載しています。さらに、国内外先進企業や有識者へのインタビュー、DX白書有識者委員のコラムなどにより、最先端の取組事例やDX推進に向けたメッセージなどを盛り込んでいます。


【国内】DXは都市圏、大企業で進展も、地方、中堅・中小企業では進まず

DXの取組状況は企業規模に比例。年商50億円未満の企業では6割がそもそも取組せず

日本国内のDXの取組状況について、第1章国内産業のDX取組状況に解説されていますが、「企業規模」「地域別」にみると、売上規模が大きくなるほど、また東京23区、東海、関西等の企業規模が大きい企業が多く集まっている地域のDXの取組状況が大きくなる傾向となっています。

年商1000億円以上の企業は全社としてDXに取り組んでいるものの、1000億円未満になると3分の1程度しか全社としては取り組んでおらず、50億円未満の企業では10%にとどまり、何かしらも取り組んでいない企業が約60%に上ります。

実際に当社にご相談いただく案件においても、DXに関する案件のほとんどが、大企業、大都市、業界が偏っていることから、中小企業がDXの取り組みに遅れている実態がうきぼりとなっているといえます。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第2部 国内産業におけるDXの取組状況の俯瞰 P6(図表2-3))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108043.pdf


中小企業のDXに取り組むに当たっての課題としては、「人材不足」があげられています。DXに限らず、企業の人材不足は社会問題となっていますが、こうした問題に対して大企業であれば、必要なスキルを備えた人材採用や外部ベンダーの確保といった対応ができるかもしれません。

一方、中小企業では、予算や費用対効果の観点で難しい場面が多いでしょう。また、株主や多くの社員からの要請がある大企業と異なり、オーナー企業の多い地方や中小企業ではステークホルダーから強くトランスフォーメーションを求められるような構造になっていないという点があると考えられます。そのあたりが「企業文化・風土」「ビジョン・経営戦略」というキーワードに現れているのではないでしょうか。

また、DXの必要性についても、当事者意識を持てていない経営者も多いと推測されます。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第2部 国内産業におけるDXの取組状況の俯瞰 P8(図表2-5))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108043.pdf


上記の問題は地域別にも表れていると考えられます。やはり大企業が集まる地域はDXが早くから実施されており、そうでない地域になればなるほど遅れているといえます。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第2部 国内産業におけるDXの取組状況の俯瞰 P11(図表2-8))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108043.pdf

【業種別】DXが進む金融・保険業、情報通信業、農業・林業

「業種別」にみると、他業種と比較して「情報通信業」と「金融業、保険業」、そして「農業、林業」はDXに取組んでいる割合が高い結果となっています。他業種の取組状況は20%を下回ることが多いのに対して、これらの業種は40%近くとなっています。

理由としては、データが豊富なことや、データが重要でその分元々テクノロジーの導入が業界全体で進んでいること、プロセスの改善によるコスト削減や業務効率化の期待が相対的に大きい構造があると考えられます。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第2部 国内産業におけるDXの取組状況の俯瞰 P9(図表2-6))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108043.pdf

デジタル“取組は進む”が、“成果に繋がらない”日本。

第2章DXの取組状況及び第3章企業DX戦略では、DXの取組状況やDX戦略の策定状況について、米国との比較を交えながら解説が行われています。

日本企業のDX取組割合は年々増加しており、大企業については米国の割合に近づいてきていて、1001人以上の規模では米国を上回るという結果がでています。
一方、100人以上規模等の中堅・中小企業においては、米国では1001人以上規模と同じ水準に近いが日本企業では著しく取組状況の割合が下がり、日米での取り組み状況はかなり日本が遅れる結果です。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第3部 企業DXの戦略P6(図表3-4))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108045.pdf

デジタル化は進むが、トランスフォーメーションが進まない日本

DXの取り組みの結果、成果が出ていると感じている企業の割合が9割の米国に比べ日本は6割弱と差が明確になっています。

DX戦略の策定については、日本企業は業務効率化を目的とするデジタイゼーションなどの領域での成果はあがっているものの、顧客価値創出やビジネスモデルの変革といったトランスフォーメーションのレベルの成果創出が不十分という結果となっています。この点が成果の差に表れていると考えられます。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第3部 企業DXの戦略P8(図表3-7))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108045.pdf


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第3部 企業DXの戦略P27(図表3-20))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108045.pdf


ちなみに、成果についてはそもそも遅れている日本とは異なり、米国では100名以下の企業でも85%と大企業同様の取組成果を出しています。つまり企業の規模にかかわらずDXは成果に貢献できるという証明です。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第3部 企業DXの戦略P9(図表3-8))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108045.pdf


また、成果を考えるうえで興味深いデータとしては、日米のデジタル事業の売上比率の結果が出ています。そもそもDXは「顧客価値創出やビジネスモデルの変革といったトランスフォーメーションのレベルの成果」を指すともいわれています。

そもそも世界を相手に出来る英語がベースの米国と国内に限られる日本語という構造的な問題の差はありますが、明確にデジタル事業としての差も出ています。
米国はデジタル事業の売上が8割以上ありますが、日本は5割程度です。2割未満の比率が日本は3割で米国ではわずか4%と大きな差が出ています。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第3部 企業DXの戦略P10(図表3-9/3-10))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108045.pdf

本気度としての予算組。DXの予算を予め確保する米国。都度申請が必要な日本。

経営資源の獲得・活用の観点では日本企業では、DXを推進する予算が継続的に確保されていない企業の割合が高く、またDXを推進するうえでリーダーシップをとる経営層のITについての見識が低いといった課題があげられています。

1000人以上の規模では米国を上回るデータがありますが、1000人以下の企業では米国の4~5割に対して、日本は2割以下の企業しか継続的な予算確保は出来ておらず都度予算申請が必要になります。DXを取り巻くサービスは変化が激しく、都度申請が必要だと申請が通った際には既に該当のサービスや対策は既に環境が変わってしまっている可能性もあります。実際にそのような現場も多く見てきました。このあたりのDXへの取組に対する本気度やスピード感が成果に影響している点もあると考えられます。

大手企業とスタートアップ企業の協業の際につまずくケースもまさに同様で、スタートアップ企業が持っている最新の技術を取り入れたくとも、大手企業の意思決定には半年以上かかる場合があり、成果を得ることができずに終わってしまうことがあります。

DXを推進する上では、DXを推進している主幹部署に決裁権を与えスピード感をもって対応しないと、技術のスピードにも追いつけず、結局成果を得ることが難しいでしょう。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第3部 企業DXの戦略P16(図表3-12))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108045.pdf

そもそも外部環境の変化を強く意識し最優先で取り組む米国と感度の鈍い日本企業

今回の白書では面白いデータが出ています。DXだけではなく様々な世界の経営環境の変化やトレンドをどのように捉えるかという点です。

SDGsや気候変動、ディスラプターの出現、プライバシー規制等、日本企業と米国企業での取り組み方に明確な温度差がみられました。

ここから読み解けるのは、DXに限らず、外部変化への自主的、能動的な取り組みが米国に比べて日本企業は遅いということです。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第3部 企業DXの戦略P23(図表3-16))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108045.pdf

形式は整えるが企業全体としてのコミットメント不足が課題。

プロジェクトチームは組むものの社内全体での連携にコミット出来ていない日本

企業としてのDXに取り組む体制についても日米で特徴が出ています。

DXをミッションとする専門部署、プロジェクトチームについては、米国では90%を超えていますが、日本も75%は設置されています。
このように、DX専門部署の有無は日米でそこまで差がないものの、部署間の推進、CDOの存在有無については、大きく差がついています。

形としてやっているが、組織横断の責任者の不在・実行までのコミットメント不足が見て取ることができます。これがデジタル化はするが、デジタルトランスフォーメーションまでいかない理由の1つでもあると考えられます。

日本企業におけるDX推進として主流な流れは、経営層からのトップダウン型、経営者目線でのDX施策の立案、施策ベースで部門横断型のプロジェクトを行うものです。
その場合、スキルや経験のない人が、技術や業務内容のキャッチアップを行いながらプロジェクトを推進することとなり、そもそも効果的なプロジェクトの打ち出し方ができていないことで、思うような成果が得られないで終わってしまう場合が多くあると考えられます。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第3部 企業DXの戦略P34(図表3-26))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108045.pdf

組織の壁を超えた協力・協業が苦手な日本

一方、DXの責任者といえるCDOの設置については、米国の6割に対して、日本は16%しかいません。人材不足の問題もあるとは思いますが、理由はそれだけではないでしょう。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第3部 企業DXの戦略P34(図表3-25))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108045.pdf


また部門間の強調や組織の壁を越えた協力・協業についても大きく差がついています。
日本はそれぞれ約4割ですが、米国では倍の8割になります。CDOの有無と合わせてみると、企業全体のコミットメントの差のように見受けられます。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第3部 企業DXの戦略P38(図表3-30/3-31))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108045.pdf


ちなみにパートナーシップの提携についても興味深い傾向が見て取れます。
日本は米国に比較してパートナーシップを組んでいないパターンが多く、内製意識が高い傾向が見て取れます。

一方、米国は「スタートアップ企業」また「競合企業」との連携が多く成果を出すためには手段を限定せずに可能性を模索して取り組むという姿勢がみられます。

「プラットフォーム提供者」との連携の有無も米国と日本での大きな差であるが、これもクラウドなど最新のソリューションを活用しコストを抑えながらスピーディーに進める米国と、クラウドなどの活用に社内からの「懸念の声」が出て活用に踏み切れない日本企業という様子が想像できます。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第3部 企業DXの戦略P39(図表3-32))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108045.pdf


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第5部 DX実現に向けたITシステム開発手法と技術P33(図表5-25))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108047.pdf

DX人材が圧倒的に不足。そもそも人材要件設定時点での悩みが垣間見える。

第4章デジタル時代の人材ではDXを推進する人材に関する取組について米国との比較を交えながら解説が行われています。

日本企業はDXを推進する人材像の設定・周知が出来ておらず、人材の質・量の不足が進んでいるという結果がでています。米国では2022年度で8割弱が過不足はないと回答しているのに対して、日本では逆に8割以上が不足していると回答しています。
そもそもDX人材像を設定すら出来ていない企業が日本では7割以上あり、米国の65%と差が明確です。

このあたりはIT人材が事業会社に所属する米国と、いわゆるSIerのような支援側のIT企業に多く所属するというそもそもの構造の問題も影響しているとも考えられます。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第4部 デジタル時代の人材P4(図表4-3))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108046.pdf


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第4部 デジタル時代の人材P6(図表4-5))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108046.pdf


人材の獲得・確保の手段については、日米ともに社内人材の育成の割合が一番高くなっています。
一方で、日米の大きな違いとして、米国企業は「特定技術を有する企業や個人との契約」や「リファラル採用」といった社外からの獲得手段を活用する割合が高くなっていることがあげられています。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第4部 デジタル時代の人材P8(図表4-8))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108046.pdf


また人材の育成方法についても、日本企業は米国企業に比べ、キャリア形成・学びに関する取組を組織として実施している割合が低くなっています。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第4部 デジタル時代の人材P14(図表4-14))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108046.pdf


人材の評価についても、日本企業では人材の評価基準がない企業が大半を占めており、米国企業に比べDXを推進する人材施策の取組が出来ていない結果となっています。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第4部 デジタル時代の人材P23(図表4-21))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108046.pdf


最近では「リスキリング」というキーワードもメディアでよく取り上げられています。弊社の案件でも、DX実現のための人材開発・育成プランの策定の要望もあり、DX人材の育成に注力する企業も増えてきているのではと考えております。

レガシーシステム、従来の開発手法から脱却・脱皮が出来ない

DXを推進するためにはビジネス環境の変化に迅速に対応できるITシステムの整備と社内外のシステム連携による競争領域の強化、ビジネス上のニーズに合致するデータ活用と分析が必要となることから、第5章DX実現に向けたITシステム開発手法と技術にて、システム開発手法やデータの利活用技術について、日米比較を行いながら解説されています。

DXを実現するためのITシステムの共通的な要素として、俊敏かつ柔軟に対応できる「スピード・アジリティ」、効率的なシステム間連携を目指す「社会最適」、「データ活用」の3つが挙げられています。
上記3つの実現のためには新たな開発手法・技術の活用を進める必要がありますが、日本企業は米国企業に比べ活用が遅れているという結果となっています。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第5部 DX実現に向けたITシステム開発手法と技術P26(図表5-18))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108047.pdf


ITシステムの開発手法についても、日本と米国では大きく違いがでています。
使う側の意識や、小さく始めて軌道修正するようなQuick-Win的なやり方や、最新のノーコード・ローコードツールの活用などにおいて、日本は圧倒的に遅れています。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第5部 DX実現に向けたITシステム開発手法と技術P30(図表5-22 一部抜粋))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108047.pdf


また、DX推進の足かせになるレガシーシステムについて米国企業と比べて日本企業は残存する割合が高くなっています。「2025年の崖」でも警鐘されていますが、この残存割合をみても、レガシーシステムが日本企業の世界競争力にも影響する重大な課題となっていることが窺えます。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第5部 DX実現に向けたITシステム開発手法と技術P35(図表5-27))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108047.pdf


尚、レガシーシステムの課題は日米似ているところがあるが、圧倒的に差がついていて日本に特徴的なのが、プロジェクト・リーダーの不足です。ここでも人材の問題が出てきています。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第5部 DX実現に向けたITシステム開発手法と技術P36(図表5-28))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108047.pdf


データ活用については、日本企業はデータの利活用は進んでいるものの、売上増加やコスト削減など成果の創出にはまだ至っておらず、成果の測定もしていない企業が半数近くとなっています。

また、日本企業によるAI・IoTの利活用は米国企業と比べて遅れており、その導入目的においても日本は業務効率化、米国は顧客価値の向上という違いがみてとれる結果となっています。


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第5部 DX実現に向けたITシステム開発手法と技術P77(図表5-58))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108047.pdf


(出典:独立行政法人情報処理推進機構 「IPA DX白書2023」第5部 DX実現に向けたITシステム開発手法と技術P83,84(図表5-65/5-66))
https://www.ipa.go.jp/publish/wp-dx/gmcbt8000000botk-att/000108047.pdf

【まとめ】“とりあえず”ではなく、DXの成果にこだわる経営陣のリーダーシップが肝

DX白書2023から見えた国内企業のDX状況の課題を整理すると、

  • 日本の中小企業はやれば成果が出るが課題意識を持てていない
  • 中堅、大手企業は形式としてのプロジェクトチームや専門部署を作ってみたり、個別最適での業務のデジタル化は取り組むが、DXに対しては本気で取り組んでいない
  • CDOの設置による全社横断での連携、プラットフォームの活用、開発手法の見直し、レガシーシステムからの脱却、外部人材の採用等、足りないアクションは見えている

ということになると思われます。これらを進めるには経営陣のリーダーシップによるコミットメントが重要といえます。


最後に、当社に寄せられるDX案件を見ていく中で感じることを述べるとすると、やはり日本企業の課題は、その取り組み方にあると思います。

DX案件は、「レガシーシステムの刷新」「新規サービスの創出」「自動化」の3つが主流となっていますが、それぞれ「レガシーシステムの刷新」では、PMOやSAP、「新規サービスの創出」ではAIチャットボット、「自動化」ではRPAやnocodeツール、といったスキルを持った人材の需要が高いです。
前述にもあったように、日本企業は外部から支援を受け入れるという形をとるのが苦手であり、スキルや経験が少ない内部の人材だけでDXへ取り組んだ結果、あまり成果が得られない施策となってしまっているケースが多いのではと考えます。

スキルや経験を有した外部支援を受け入れ、社内の人材を伴走しながら案件を推進することができれば、外部支援がもつスキルや知識を社内に蓄積することもでき、高い成果を得られる確率が高まるのでは、と考えます。
また、社内の人材のスキルや知識が高まれば、真の意味でのDX、デジタルフォーメーションや新たな価値創出の機会も高まるでしょう。

我々のような支援側の企業は少しでも力になるべくチャレンジを続けているところです。
無料にてご相談も承っておりますため、下記リンクよりお気軽にお問い合わせください。
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