本記事のサマリ
今後フリーランスの需要が伸びると想定する領域をテーマとしており、第4回目は「GX」です。コラム内では、GXを理解する上で押さえておくべき、「ESG」経営や「TCFD」といった情報開示の取り組みに触れ、今後のGXの動向について解説しています。
今回のテーマは「GX」です。
Q:GXとは?
A:
GXとは、「グリーントランスフォーメーション」のことで、気候変動の主な要因となっている温室効果ガスの排出量を削減しようという世界の流れを経済成長の機会ととらえ、排出削減と産業競争力向上の両立を目指す取り組みのことです。
日本でGXが注目されている背景には、日本政府による2050年カーボンニュートラルの実現を宣言したことや、ESG投資の市場拡大をはじめとした世界的な流れがあると考えられます。「ESG」とは、環境(E: Environment)、社会(S: Social)、ガバナンス(G: Governance)の英語の頭文字を合わせた言葉です。企業が長期的に成長するためには、経営においてESGの3つの観点が必要だという考え方が世界中で広まっています。似た意味で使われている言葉で「SDGs」がありますよね。「ESG」は企業が経営を進めるうえで重視される要素であるのに対し「SDGs」は国や企業などが持続可能な世界を実現するための目標です。企業がESGに配慮しながら活動を進めれば、結果としてSDGsで定められている目標達成を実現できると考えられているため、「ESG」と「SDGs」はセットで捉えられることが多いです。
近年、投資家や消費者も、ESGを重要視している企業への投資や製品購入を行うような傾向となってきています。
Q:GXの現状は?
A:
GXの動きとしては、大きく「投資家向け」と、「規制」の2つの側面があると言えます。
まずは「投資家向け」の事例としては、アパレル業界における「ヒグインデックス」です。「ヒグインデックス」とは、アパレルの世界的な業界団体であるサステナブル・アパレル連合(SAC)が2012年に開発した環境・社会負荷の測定ツールで、製品に使用された素材の環境負荷に関するデータや情報を共有することができます。「ヒグインデックス」により、ブランドや小売業者、製造業者が同一の方法で各商品の環境負荷に関する検証済みのデータを共有することができ、より広範な透明性を提供することで、消費者はより多くの情報を得た上で購入判断が可能となります。
2つ目の「規制」としては、「TCFD」があげられます。TCFDとは、Task force on Climate-related Financial Disclosuresの略であり、日本では「気候関連財務情報開示タスクフォース」と呼ばれています。簡単にいうと、各企業の気候変動への取り組みを具体的に開示することを推奨する、国際的な組織のことです。2022年4月4日以降、プライム市場上場企業に対し、ガバナンス報告書においてTCFD開示が求められており、今後有価証券報告書を提出する企業に対しても開示が求められる予定です。
その他にも気候変動に関する開示情報の指標として、「カーボンフットプリント」や「スコープ3」があります。「カーボンフットプリント」とは、商品・サービスのライフサイクルの各過程で排出された「温室効果ガスの量」を追跡した結果、 得られた全体の量をCO2量に換算して表示すること、「スコープ3」とはスコープ1.2の対象である自社施設からの温室効果ガス排出量の算出を除く、事業活動に関連する他社からの間接排出量を算出することを言います。このように気候変動に関する開示情報に関する指標が複数存在し、かつその算出方法は複雑なものとなっています。
社会的にGX、ESGの考えが浸透し、企業活動を行う上でGXへの取り組みは今後ますます重要視されていきます。それとともに投資家からの要請や、ルールとしても気候変動に関する情報開示の義務化も進んでいくと考えられます。
企業としてはそもそものGXに対する対応方針の策定や複雑化する開示情報への対応が求められ、そこに対するコンサルティング需要が高まっていくと予想しています。
次回予告「iPaaS」
次回はiPaaSについて解説します。ぜひ楽しみにお待ちください!