“理想的な”システム構成図の書き方|種類・書き方のポイント・おすすめツールなどを現役コンサルタントが徹底解説
2024.04.28

本記事のサマリ

■システム構成図とは システム構成図とは、システム全体の流れを図でまとめたものです。  システムは複数のツールや技術が連携しているため、構成図が必要になります。 構成図によりシステム全体像や対象範囲が可視化され、様々なメリットがあります。 主に、「個別のシステムや技術」と「通信の流れ」の2種類で構成されます。 ■システム構成図の4種類 システム構成図には4種類あり、それぞれ「システム構成図」「ネットワーク構成図」「サーバー構成図」「インフラ構成図」と呼ばれます。 ■システム構成図作成のおすすめツール 様々なツールが使われることがありますが、おすすめはパワーポイントです。関係者の利用率が高く、共有するにあたって新しくツールを契約するといったコストが防げるためです。 ■システム構成図の書き方のポイント 下記の4つのポイントを紹介しています。 ①全体像が一目でわかるように ②ソリューション名ではなく「役割」をわかりやすく記載する ③アイコンや色を活用して見分けやすく ④アクションの種類によって線の内容を変える 見やすく、わかりやすくすることが大切で、その結果、認識の相違や抜け漏れ・情報不足といったことを防ぐことが出来ます。


システム構成図とは

システム構成図とは、システム全体の流れを図でまとめて示したものです。

システムとは、それぞれ異なる技術やソリューションを組み合わせ、連携させることで作られています。
そのためシステムを理解するためには、全体がどのように組み合わせられ、連携しているのかを把握する必要があり、そのためにシステム構成図が活用をされています。

システム構成図では、システムに必要なハードウェア回りの情報やデータベース、サーバー、クライアントPCなどをハブとして、システムの流れの中でのデータや通信がどのように連携して流れていくかを示します。

システム構成図の目的・メリット

システム構成図を作成、提示することにより

  • 対象範囲の可視化
  • システム全体像の可視化

が実現します。

その結果、

  • 情報共有しやすくなる
  • コミュニケーションが取りやすくなる
  • 論点がわかりやすくなる
  • 認識のズレが発生しづらくなる

などのメリットがあります。

特にシステムは開発・運用において情報量や知識レベルに差がある人が多くかかわるため、こういった可視化による効果が発揮されやすいのです。

システム構成図の種類

4つのシステム構成図のタイプ

ちなみに、システム構成図は呼び方が異なることがあります。基本的には同じような内容なのですが、どこにフォーカスするか、どこに主眼を置くかによって構成図の呼び方が変わります。

①システム構成図

システム構成図は、ハードウェアの繋がりにフォーカスした構成図のことです。「システムの機能」を中心に作成されます。
ネットワークやサーバー等の情報については省略されることが多いです。

②ネットワーク構成図

ネットワーク構成図は、ネットワークの構成に主眼を置いた構成図のことです。端末やサーバーに割り振られるIPアドレス、VLAN、Pathなどを中心に構成されます。

ネットワーク構成図には、「物理ネットワーク」と「論理ネットワーク」の2種類に分かれます。
「物理構成図」には、文字の通り物理的なもの、オフィス内のレイアウトやハードウェアの配置、スイッチやルーターの配線が記載されます。「論理構成図」はIPアドレス、スイッチ、ルーター、サーバーのホスト名など目には見えないネットワークに関する情報がきさいされます。

また、ネットワーク構成図には、5つの接続形態(トポロジー)があります。ここでは詳細な説明は割愛しますが、バス型、スター型、リング型、ツリー型、メッシュ型というもので、それぞれメリットデメリットがあります。

③サーバー構成図

サーバー構成図はシステムの基盤となるサーバーに関する情報について整理した構成図です。各種サーバーの役割や配置環境について整理します。
特定のサーバーにアクセスが集中してパフォーマンスが低下したり、問題が発生するといったトラブルを防ぎやすくするためのものです。

④インフラ構成図

②のネットワーク構成図と③のサーバー構成図をまとめることでインフラ構成図と呼ばれることもあります。

システム構成図で必要な2つの要素

システム構成図の作成に必要なポイントを押さえた上で、システム構成図にそもそも必要な要素は大きく2つです。

・個別のシステムやソリューション

サーバー情報や、ネットワーク機器、ハードウェア、利用しているクラウドツール等

・通信の流れ

個別のシステムやソリューション間の連携を矢印を使って表現する

この2つを組み合わせて、システム構成図をつくります。

システム構成図のツール

Power Pointが一般的

ツールは様々ありますが、Power Pointで十分と思われます。
実際にPower Pointで対応完結しているプロジェクトが多いです。

基本的にはシステム構成図は関係各社での共有が必要です。複数の企業で共有することも多いですが、その場合、各社でツールのアカウント開設が必要になります。
そう考えると、Power Pointをインストールしていない企業や担当者が基本いないため、共有や利用がスムーズに進みます。

また、普段使い慣れないツールは慣れるまでに生産性が下がったり、ミスが発生する可能性も高く皆が普段使いしているツールを使うことが推奨されます。

念のため、Power Point以外で使われるツールを2つご紹介します。

その他ツール①Miro

オンラインホワイトボードツールです。グローバルでは約6,000万人のユーザーがいるとのことです。
製品開発フロー管理、ワークショップツール、作図ツール、Miroアシスト、アイデア・データの可視化、プロジェクト管理のメニューを活用して共同作業が可能です。

テンプレ-トも50種類以上あるようで、こういった背景で「システム構成図」の作成に利用されることがあります。
※参考:https://miro.com/ja/

その他ツール②canva

デザイン作成の経験がなくても魅力的なビジュアルコンテンツの作成ができるツールで、別のユーザーとの連携も可能です。
クリエイティブ画像の作成につくられることが多いですが、機能を活用し「システム構成図」の作成に使われることもあります。世界では1億人を上回るユーザーが利用しています。
※参考:https://www.canva.com/ja_jp/free/

システム構成図の書き方

システム構成図の前提条件

システム構成図の書き方で気を付けるべき基本方針は「見やすく」「わかりやすく」することです。
そして、当たり前ですが「抜け漏れ」をなくすことです。

ここさえ押さえられていれば、悪いシステム構成図にはなりません。

システム構成図の書き方のポイント

①全体像が一目でわかるように

まず全体像が網羅されており、誰が見ても概要として内容を理解できることが重要です。そのためには情報を過不足なく、役割毎に見やすく表現するという姿勢が求められます。

②ソリューション名ではなく「役割」をわかりやすく記載する

たまにソリューション名だけが書かれたシステム構成図を見受けられます。
システムやソリューションに詳しい人間が見れば、そこから想像して何となく理解ができるのですが、そうでない人から見ればソリューション名の羅列ではシステム構成を正しく理解がしづらいのです。

③アイコンや色を活用して見分けやすく

システム構成図では、アイコンで一定のルールがあります。それらを活用することで多くの関係者の理解を促進できます。

また、役割毎に色分けをしたり表現方法を分け、統一することも重要です。
ただし注意点としては、細分化をしてしまうとかえってわかりにくくなることがあります。その点のバランスは重要です。

④アクションの種類によって線の内容を変える

システム構成図はデータの流れなど、各システムがどのように連携するかを示すものです。その連携の種類やデータの流れ方など、線をジャンル分けして内容を変えることでぱっと見違いが認識しやすくすることが出来ます。


下記にシステム構成図の①~④を押さえたパターンと押さえていないパターンを作成してみました。比較すると、押さえているパターンはぱっと見ても情報にメリハリが効いていて、わかりやすいと感じていただけると思います。

システム構成図に使用する図形の紹介

システム構成図では図形オブジェクトの活用がポイントですが、Power Pointデフォルトのオブジェクトや記号で使えるものは結構多いです。

ここでは一例を紹介します。
当たり前ですが、よく使われるアイコンを活用したほうが関係者の理解は促進しやすくなります。

1つ目は、処理の記号とデータの記号を使い分けることです。

2つ目は、矢印の使い方です。システム構成図では何かしらのシステム間の流れを矢印で表現しますが、大きく「データの流れ」と「制御の流れ」に分かれます。
これを同じにしてしまうと、非常に見づらく混乱や認識違いを引き起こします。

ちなみに、上記で紹介したような記号はPower Pointの図形描画のデフォルトのもので使うことが可能です。
また図形描画にないものでも、Power Pointにデフォルトである図のアイコンのなかに使える記号は十分にあります。

システム構成図がないとどうなる?

ここまで読んでいただいたいる方で「でも、システム構成図、別になくても良くないか?」と思われる人は少ないと思いますが、念のため説明をしておきます。

最初に説明したメリットの逆の問題が発生します。

  • 対象範囲がわかりにくくなる
  • システム全体像がイメージしづらい
  • 情報共有がしずらくなる
  • コミュニケーションが取りずらくくなる
  • 論点がわかりずらくなる


その結果、

  • 認識のズレが発生してしまいシステム開発でトラブル発生の可能性が高まる
  • 関係者への情報共有やコミュニケーションのコストが高くなる

などの状況を生んでしまいます

システム開発で起きるトラブルは小さなものでも後々大きく影響を及ぼします。システム構成図をつくるだけで、多少なりともその問題発生のリスクが減らせるのであれば、必ず用意すべきなのです。

まとめ

システム構成図の書き方のポイントが押さえられたのではないでしょうか。

システム構成図の目的はシステム全体像や対象領域を可視化することで、トラブルの発生を防ぐためのものです。
基本的なことですが、「見やすくわかりやすく」「情報不足をさせない」「間違った内容にしない」ことが必要です。

そのため上記のようなポイントを押さえることも当然重要ですが、関係者への配慮や注意といった気持ちを持ちながら作成することがより“良い”システム構成図の作成に繋がります。