ゼロベース思考とは?メリット・デメリットや成功事例を現役コンサルが解説
2025.01.24

本記事のサマリ

ゼロベース思考とは、既存の前提や慣習をリセットし、物事をゼロから見直す思考法です。本記事ではゼロベース思考の基本的な考え方やメリット・デメリット、実践方法を解説します。ビジネスでの成功事例や他の思考法との組み合わせ方もを併せて解説いたしますので、ぜひ最後までご覧ください。

ゼロベース思考とは、新たな視点で問題を考える思考法

ゼロベース思考のイメージ図
ゼロベース思考とは、既存の前提や慣習を一度すべてリセットし、物事をゼロから見直す思考法です。なお、この思考法の提唱者についての明確な記録は残されておらず、誰が最初に考案したかは不明です。

このアプローチにより、過去の成功体験や慣例に縛られることなく、本質的な課題に集中し、新たな解決策を導き出すことが可能になります。特に、急速に変化する現代のビジネス環境では、この柔軟性が競争力の源泉となります。デジタル技術の進展やグローバル化の影響で、企業を取り巻く状況は複雑さを増し、従来のやり方では十分に対応できない場面が増えています。そのため、企業は新しい視点や発想を取り入れる必要に迫られており、ゼロベース思考の重要性が高まっています。

ゼロベース思考のメリットとデメリット

メリット:常識に囚われずにアイデアを生み出せる

ゼロベース思考の最大のメリットは、既存の常識や固定観念に囚われることなく、新しい視点で問題を捉えられることです。この思考法を活用することで、従来の方法では見逃してしまうような斬新なアイデアや革新的な解決策を見つけることができます。特にビジネスの場面では、競争優位性を築くための新たな施策を考える際にゼロベース思考が有効です。例えば、新商品の開発やマーケティング戦略の策定において、従来の枠組みに囚われずにゼロから考え直すことで、他社との差別化を図る、はたまた、イノベーションを起こすことが可能となります。

デメリット:アイデアの実行までに時間がかかる

一方で、ゼロベース思考にはデメリットも存在します。ゼロから考え直すプロセスには、従来の方法を一度捨て去り、新たな方法を模索する時間と努力が必要です。

ビジネスの競争環境では「スピード」が重要視されることが多く、迅速に手を打つことが競争優位を築く鍵となります。例えば、新商品の市場投入や競合他社への対応が遅れると、先行者利益を失う可能性があります。ビジネスは待ってくれないため、ゼロベース思考の実行速度が競争力に影響を与える場面もあるでしょう。

また、斬新なアイデアが実行可能かどうかを検証するためのプロトタイプ作成やテストにも時間を要することで、実行までの時間とコストが増大し、ビジネスチャンスを逃してしまう可能性も高まります。

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コンサルタントが教えるゼロベース思考の実践方法

ゼロベース思考を実際に活用するためには、具体的なステップを踏むことが重要です。ここでは、コンサルタントが推奨する実践的な方法を2つのステップに分けて解説します。

ステップ1:従来のやり方や慣習を洗い出す

まずは、現在の取り組みやプロセスを一つ一つ明らかにすることから始めます。この際、特定の観点に着目すると効率的です。以下の例を参考に、現状を分析してみましょう。

従来のやり方や慣習

  • プロジェクトの進行手順や役割分担がどのように決められているか?
  • 特定の慣習やルールが暗黙の了解として受け入れられている箇所はどこか?


人的リソース

  • 現在何人でプロジェクトを進めているのか?
  • 他部門との連携がどの程度行われているか?


コスト

  • 予算はいくらあり、どのように配分されているか?


顧客ニーズ

  • 顧客が自社の商品やサービスを選ぶ理由は何か?
  • 過去にリリースした商品の特徴や成功要因は何か?


これらの観点を整理することで、現状を客観的に把握できます。

ステップ2:従来のやり方をリセットし、ゼロから考える

次に、ステップ1で洗い出した要素を一旦リセットし、ゼロから始めるつもりで最適解を考えます。具体的には、次のような問いを自分に投げかけてみましょう。

従来のやり方や慣習

  • 今のやり方が全く存在しなかったとしたら、どのようにプロセスを構築するか?
  • 特定のルールや慣習が存在しない場合、もっと簡素化できる部分はどこか?


人的リソース

  • 人的リソースが豊富にある場合、どのように最適に配置し、効率を最大化できるか?
  • 逆に、人的リソースが限られている場合、どの業務を優先し、外部リソースを活用するべきか?


コスト

  • 予算が無限にあると仮定した場合、どのような新しい投資が可能か?
  • 逆に、予算が極端に制限されている場合、どの部分を優先すべきか?


顧客ニーズ

  • 機能Aに需要があるから売れていると考えられているが、それは事実か?
  • 商品ラインナップが全く無かったとしたら、今どのような商品を売るべきか?


ゼロベース思考は、一見当たり前に思えるやり方やルールを疑うことで、新たな可能性を発見する手法です。このプロセスを繰り返し実践することで、従来の枠組みに囚われない解決策を見出せるでしょう。

ゼロベース思考の活用例

仕事中での身近な例

ゼロベース思考は、仕事中の様々な場面で役立ちます。例えば、「1人で行っているから無理だ」と感じるような状況でも、「1人でやらなければならない」という前提を一旦取り払って考えることで、これまで気づかなかった解決策やアプローチが見えてくることがあります。「チームで分担する」「ツールや自動化を活用する」といった視点をゼロから考えることで、効率よくタスクを完了する道が見つかるかもしれません。

また、業務で長年続けてきたやり方を改善する場面でも、ゼロベース思考が有効です。たとえば、メールのフォーマットや顧客対応の手順など、従来のやり方が必ずしも最適とは限りません。一度それらを白紙に戻し、「もっと効率的な方法はないか」「本当に必要な手順とは何か」を再検討することで、業務のスピードアップや品質向上を実現できます。

ビジネスでの成功事例

ゼロベース思考の成功例として注目されるタイミーのビジネスモデルは、従来のアルバイト採用の慣習を根本から見直しました。従来は、事前に面接を実施し、スケジュールを調整した上で雇用契約を締結するのが一般的でした。しかし、タイミーでは面接を廃止し、ユーザーの相互評価データを活用して働き手と事業者を即時マッチング。さらに、雇用契約や出退勤管理をアプリ内でQRコードを使って完結させる仕組みを導入し、効率化を実現しています。このシステムは特許も取得しており、労働市場に革新をもたらしました。タイミーの事例は、ゼロベース思考によって新しい価値を生み出す好例といえるでしょう。

他の思考法との違い・組み合わせ方法

ゼロベース思考をさらに活用するために、他の思考法をどのように組み合わせていくかについて解説します。また、それらが先述した実践方法のステップ1とステップ2のどちらで使われるかについても説明いたします。

ロジカルシンキング

ロジカルシンキングは論理的な筋道を立てて考える手法で、物事を順序立てて解決するのに役立ちます。ゼロベース思考と組み合わせることで、既存の枠組みにとらわれない新しいアイデアを、論理的に整理し、実現可能な形にすることができます。ステップ1で現状を論理的に整理し、ステップ2で新しい発想を論理的に組み立てる際に活用できます。

クリティカルシンキング

クリティカルシンキングは物事を批判的に分析し、判断する能力を高める思考法です。ゼロベース思考にクリティカルシンキングを取り入れることで、新たな視点で生まれたアイデアを多角的に評価し、潜在的な問題点を見つけ出すことが可能になります。ステップ1で現状を批判的に検討し、ステップ2で新しいアイデアの妥当性を評価する場面で役立ちます。

ラテラルシンキング

ラテラルシンキングは、直線的な考え方から離れ、自由な発想で問題を解決する手法です。ゼロベース思考とラテラルシンキングを組み合わせれば、想像力豊かで革新的な解決策を生み出すことができ、特に閉塞感のある状況を打破するのに有効です。主にステップ2で使用し、新しいアイデアを自由に生み出す際に活用されます。

仮説思考

仮説思考は、仮説を立てて検証するプロセスを通じて問題解決を図る方法です。ゼロベース思考との組み合わせにより、従来の枠組みにとらわれずに新たな仮説を構築し、その妥当性を検証しながら進めることができ、効率的な解決策を模索できます。ステップ2で新たな仮説を構築し、検証を繰り返すプロセスで活用されます。

ファクトベース思考

ファクトベース思考は、事実に基づいて判断を下すことに重きを置くアプローチです。ゼロベース思考と共に用いることで、創造的なアイデアを事実で裏付けし、実行可能性を高めることができます。特にステップ1で、現状を正確に把握し、データに基づいて分析する際に有効です。

オプション思考

オプション思考は、複数の選択肢を考慮し、最適な解決策を選ぶ手法です。ゼロベース思考と組み合わせることで、新しいアイデアを多角的に評価し、多様な選択肢を生み出し、その中から最も効果的な方法を選定することができます。ステップ2で多様な選択肢を創出し、最適解を選ぶプロセスで活用されます。

ゼロベース思考を上記のような他の思考法と組み合わせることで、現状の課題を深く掘り下げ、新しい解決策を創造する可能性が大きく広がります。

さいごに

ゼロベース思考は、新しい発想や斬新な解決策を導くための有効な手段です。従来の枠組みや常識を一度取り払い、課題にゼロから向き合うことで、これまで見えなかった可能性を発見することができます。

しかし、アイデアを実現するには、専門知識や柔軟なアプローチが求められます。ProConnectでは、実績あるフリーランスコンサルタントをスピーディーにアサインし、効率的にプロジェクトを成功へ導きます。ぜひ下記リンクから、詳細をご確認ください。

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